登録有形文化財の宿「向瀧」宿泊記|東山温泉で感じた春の贅沢

会津の旅

こんにちは、アラカンぼっちトラベラーのヴィオラです。
普段のひとり旅では、
車中泊やリーズナブルなビジネスホテル・民宿を選ぶことが多い私ですが、
今回はちょっと違います。
旅の相棒は、宿にちょっぴりこだわりのある夫。
そこで選んだのは、会津・東山温泉の老舗旅館「向瀧(むかいたき)」です。

この宿に泊まるのは、今回で三度目。
私たち夫婦にとって「向瀧」は、まるで“心の洗濯”をするような場所。
静かな環境、心のこもったおもてなし、
そして会津の味覚と湯のぬくもりに包まれて、
いつの間にか心も体もふっと軽くなる。
そんな不思議な力を持った宿です。

♨歴史に包まれる名湯「きつね湯」で、心も体もぽかぽかに

東山温泉は、奈良時代の僧・行基が発見したと伝えられる歴史ある名湯。
江戸時代には「天寧寺の湯」として知られ、
向瀧は“狐湯”と呼ばれ、会津藩の上級武士たちが疲れを癒した特別な湯宿でした。

今もなお、三本の自家源泉からこんこんと湧くお湯は、
すべて100%源泉かけ流しの完全放流式。
加水・循環なしの贅沢な湯で、肌はすべすべ、体の芯までぽかぽかに温まります。

館内には、白御影石のレトロな「きつね湯」、
外の景色が楽しめる「さるの湯」、
そして予約不要の貸切家族風呂も3つ。
静かに、贅沢に、癒しの時間を楽しめます。

春の味覚に、心まで癒されて

今回の宿泊でいただいたお料理は、まさに“春づくし”のごちそうでした。
まずは前菜、「門田菜花 なごり雪」。
名残の雪の白と、菜花の緑が春の訪れを感じさせてくれる一皿です。
続いての向付「春香る 鯉のたたき」は、
鯉ならではのコリコリとした食感と旨みがぎゅっと詰まっていて、
春の香りとともに口の中に広がりました。

中でも印象的だったのは、紅鱒と赤い大根“紅くるり”を使った鍋料理「春らんまん紅鱒紅くるり」。
春色のスープに、魚と野菜の旨みが溶け合って、体の芯までぽかぽかに。
※なおこの鍋は期間限定。
材料がなくなり次第「春キャベツと会津地鶏の味噌鍋」に切り替わるそうなので、
運よく出会えたらラッキーです。

お凌ぎは、春の香りを閉じ込めた「会津雑穀の古代米」。
そして揚げ物には、雪の下でじっくり甘みを蓄えた「雪下ニンジン」。
調理には一切砂糖を使っていないとのことですが、
驚くほどの自然な甘さでした。

ご飯は契約農家直送の「会津こしひかり」
これがもう絶品でおかずはちょっとした漬物と佃煮で充分なくらい
甘味と旨みが凝縮されています。

最後は、会津産の「紅ほっぺ」を使ったグラススイーツで締めくくり。
甘酸っぱくて春らしい味わいに、思わず笑顔がこぼれました。

さらに今回は、会津名物「馬刺し」も別注で。
これがまた…驚くほど柔らかくて味が濃い!
1人前しか頼まなかったのが本当に悔やまれます(笑)

歴史と文化を感じる、特別な宿

「向瀧」は、明治6年創業の歴史ある旅館。
平成8年には国の登録有形文化財第1号として認定された、
まさに“日本の宿文化”を象徴するような場所です。

登録有形文化財とは、建築後50年以上を経て
•歴史的景観に貢献しているもの
•造形的に価値があるもの
•再現が難しい貴重な建築物
などの条件を満たす建物に認定されるもの。

「向瀧」は、全国で初めて旅館として登録された唯一の存在です。
宿の佇まいそのものが、会津の歴史と文化を今に伝えてくれています。

宿泊前に知っておきたいワンポイント

歴史的な建物であるがゆえに、いくつか知っておくと安心なこともあります。

たとえば、バリアフリーには完全対応していないため、
私たちは毎回1階のお部屋をリクエスト。
階段が心配な方にはおすすめです。

また、アメニティは必要最小限にとどめてあり、
歯ブラシやカミソリなどは備え付けがありません。(購入は可能)
最近は環境への配慮からこうしたスタイルの宿が増えていますね。
私は普段から自分の歯ブラシを持ち歩いているので問題ありませんが、
準備をお忘れなく。

何度でも帰ってきたくなる“心の宿”

四季折々の味わい、心づくしのおもてなし、
そして時を刻む建物と静かな自然。
冬はこたつ、春は菜の花、夏は蝉しぐれ、秋は紅葉。
東山温泉「向瀧」は、何度訪れても新しい発見があり、
毎回“心がほぐれる旅”になるのです。

私たち夫婦にとって、これからも何度でも帰ってきたくなる――
そんな、特別な宿です。

アクセス

向瀧(むかいたき)
〒965-0814 福島県会津若松市東山町大字湯本字川向200
TEL:0242-27-7501
【アクセス】会津若松ICから約7km(車で約15分)
Webサイト:https://www.mukaitaki.com

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